PINGO

「反復ことばドローイング」

・参加者　　7名

・必要画材
鉛筆、画用紙、色鉛筆

今回は、言葉を使ったドローイングです。配布した紙にある、いくつかの言葉を使って、まずは5分間線を描きます。

「囲む」
「積む」
「つなげる」
「重ねる」
「並べる」
「繰り返す」
※描いている途中からそれほど言葉を意識しなくてもよい。
※小さいパーツから始めるとやりにくいようであれば、最初は大きな形を描く。

線を描き終えたら、色鉛筆や絵の具で彩色します。皆さん今回は色鉛筆を使用されていました。反復をイメージした言葉を多くしているのは、その方が具体的なものが描きにくいですし、繰り返すことで集中力が増していくところもあります。同じような動作を繰り返すことで出てくるような発想がドローイングに向いているように思われます。
皆さん、言葉少なですが、今回も密度のある作品をつくってくださいました。

「カーボンドロー鉛筆画」

・参加者　

8名

・必要画材

鉛筆、画用紙、カーボン紙

いつもは色彩を使うことが多い、PINGOですが、今回は鉛筆を中心として、絵を作るプログラムにしてみました。鉛筆は普段使う道具ですが、実は使い方によっては色を塗るように使うこともできます。鉛筆で何かを描く場合、通常、画面に対して垂直に近い形で立てて描きますが、画面すれすれに寝かせて描くことで、広い面を筆で塗るように使うことができます。ちょっとプロっぽい持ち方になりますが、鉛筆の色は、指やティッシュで擦ったりするとなかなか複雑な色が出ますし、様々な硬度の鉛筆を使うことで、かなり深い色合いが出ます。もちろんモノトーンではありますが、モノトーンだからこそ表現できる世界もあり、それが魅力となる場合もあります。

また、鉛筆の場合、消しゴムで消すことができるのでやり直しがききますし、消し具合によっては効果的な絵肌を作ることができます。使い慣れるとなかなか魅力的な道具で、カッターを使って手で削ることで、自分の使いやすいようにカスタマイズできるのです。使い慣れるまでは少し時間がかかりますが、今回は削り方も含めて、取り組んでみました。

何かモチーフを用意して描くとなると緊張してしまいますので、PINGOでよく使うカーボン紙を使って、線を描き、そこに彩色するように作品を仕上げてもらっています。皆さん最初は緊張気味でしたが、描き進めるうちにのめり込んでいるようでした。

「3分間の線」

・参加者　

5名

・必要画材

鉛筆、画用紙、絵具、色鉛筆など

・手順

1.3分間、なるべく画用紙から鉛筆を離さないようにしながら、線を描く。ぴったりではなくてよいので、きりの良い所でやめる。

2.線を見ながら、思いついた色を彩色していく。

9月に入りましたが、異常な暑さが続いており、まだまだ夏の気分です。今回は初めての方が4名もいらっしゃいました。そのため、なるべく緊張の少ないプログラムを、と思いまして、これまでもやったことのある「3分間の線」にしてみました。

皆さん、恐る恐るという感じで説明を聞いていましたが、いざ描き始めると素晴らしい集中力で一言も発さずに黙々と制作していました。彩色に絵具を使ったのは、慣れている参加者のみでしたが、それぞれ個性があって見応えのある作品となりました。

また、プログラムとは関係ないですが、Mさんが入院中に描いていたという作品を見せていただきました。細かな文様がかなりの密度で描かれており、見応え充分の作品に思わず見入ってしまいました。

「四角と丸 3分間」

・参加者　
5名

・必要画材
鉛筆、画用紙、絵具、色鉛筆など

・手順
1.四角の形を3分間描く。大きさなどは自由。
2.丸の形を3分間描く。丸はかたちが乱れやすいのでなるべく丁寧に。また、丸は閉じなくても良いので曲線だけでもよい。
3.彩色する。

梅雨も早々に明け、夏になりました。この日は一時期の猛烈な暑さも和らぎ、過ごしやすい気候でした。今回は土曜日にしたせいか、あるいはやっと日程通りに行えたせいか、5名ほど来て頂きました。

さて、今回の課題ですが、四角と丸で構成された絵を描いてもらいました。時間制限を設けるのは最近は多いですが、やはり毎回皆さん集中してくれますし、線もいきいきとします。四角と丸にしたのは、こちらも相変わらず具体的なものを描かないPINGOですので、抽象的な絵面になることを意図しています。

建物がまばらな田舎は別として、街や室内など、よくよく考えてみると現代人は「四角いもの」の中で過ごすことが多い用に思います。また「丸いもの」も良く目にしています。意識してみてみると、すべてが、「四角」と「丸」に還元できるのではないかと思うほどです。そのため、皆さんの描いた絵もどこか親近感を覚えますし、共有できる感覚は具体的なものを描くよりももっと多く感じられます。写真にできなくて、絵画にできることと言えば、やはりこの辺りになってくるのではないでしょうか。

今回は皆さん、水彩を使ってもらいましたが、やはり夏は水彩を使う方が心地良いですね。皆さん、色使いも伸びやかで、すばらしい出来映えだったように思います。

「重ならない3分間の線」

・参加者　1名

・必要画材
鉛筆、画用紙、絵具、色鉛筆など

・手順
1.線が重ならないように3分間を引く。
2.彩色する。

今回は私の都合ということもあり、日程変更をしてしまいました。そのせいか、あるいはそもそも飽きられてしまったのか、参加者はお一人でした。ただ、そんななかでも来てくださる方もいらっしゃるので、もちろんしっかりやります。
今回もまた、懲りずに時間制限を設けた線描きからスタートしました。そして、今回もう一つの制限は、描いた線を重ねないこと。人が少なかったので、私も真剣に描かせてもらいましたが、やや3分は短い感じもします。

参加したOさんも1枚目はやや気乗りしない様子で、2枚目は5分ぐらい線を描いていたように思います。線を重ねないことで、グルグル描きの進め方よりは地と図がはっきりと別れてしまいます。地と図が混じった方が緊張も減ると思われるので、そういった意味でも5分ぐらいはかけて線を描いていく方がよさそうです。

絵画というのは、平面の世界ではありますが、やはり奥行きがある方がその世界を感じられるものです。陰影と遠近法を駆使したヨーロッパの絵画、中国の水墨画はもちろん、日本の浮世絵のように平面的に見えるものにも、奥行きを感じさせる工夫は、絵画の基本とも言えます。話がそれて何のことを言いたいのかわかりにくいですが、つまり、地と図がはっきりしているようで、実ははっきりしない部分もあるような、そんな状態を作り出すことも絵画にとって重要なことではないでしょうか。そんなことを感じられた今回のプログラムでした。